東京家審令和7年3月13日家法63巻78頁

【当事者等】

申立人
父
相手方
母
当事者間の子ら
長男(平成24年生)と二男

【事実関係】

平成24年
父母婚姻、長男出生
令和2年12月
母が子らとともに別居
令和3年4月
父は子らについて①監護者指定及び引渡し審判と②面会交流調停をそれぞれ申立て
→①の審判(別件審判)では子らの監護者は母に指定(令和3年12月)
②の審判手続移行後の審判(前件審判)では、長男に関する父の申立てを却下(令和4年2月)
※二男については第三者機関の付添型援助を利用して月1回、2時間の交流を実施する旨の審判(確定)
令和4年7月
②の前件審判に対する父の即時抗告棄却
令和5年8月
父、あらためて面会交流調停(本件調停)申立て
長男に子どもの手続代理人を選任するよう求める
令和5年12月
本件調停において裁判所は長男に手続代理人選任
令和6年10月
本件調停不成立、審判移行(本件審判)
令和7年3月
本件審判

【審判内容】

 本件は、申立人が、前件審判において、面会交流を実施することはできないとして申立てを却下された長男について、再度、面会交流することを求める事案であるところ、(中略)、長男は、本件調停及び審判手続に利害関係参加した上で、長男の代理人を通じて、申立人とは絶対に会いたくない、本件手続が早く終わって欲しいなどと自らの意向を述べているものであり、申立人との交流を拒否する旨の長男の意向は、前件審判時から変わらず、一貫したものであり、真意であると認められる。長男は、現在小学6年生であり、一件記録上長男の発達状態等に特段の問題が認められないことなどから、かかる長男の意向は尊重すべきものである。
 したがって、現時点においても、申立人と長男との面会交流は、直接・間接を問わず、実施するのは相当と言えない。

【コメント】

 家事事件手続法上、一定の事件類型については、子どもに手続能力が認められており、子どもは申立権や当事者参加のほかに、利害関係参加することができる。家庭裁判所は、相当と認めるときは、職権で子どもを調停に利害関係参加させることができる(家事事件手続法42条3項・258条1項)。そして、調停委員会を組織する裁判官は、必要があると認めるときは、申立て又は職権により、子どもについて手続代理人を選任することができる(同法23条1項2項・260条2項)。
 本件では、長男が本件調停に利害関係参加し、手続代理人が選任された事案である。長男は、手続代理人を通じて父とは会いたくない意向を述べ、本件審判はその意向を尊重すべきとした。子どもの手続代理人が選任される事例はまだ多いとは言えず、子どもの手続代理人の活動事例として参考になる。