親子関係の不存在確認に係る合意に相当する審判に対し異議申立ができる利害関係人(家事事件手続法279条1項)とは、審判により直接身分関係に何らかの変動が生ずる者に限られず、当該審判によって変動する身分関係を前提として、自らの身分関係に変動を生ずる蓋然性のあるものも含まれるとした事例

[大阪高決2021(令3)年3月12日 家庭の法と裁判43号86頁]

【事案の概要】

 

 原審(大阪家裁令和2年12月21日)は、利害関係人には当たらないとして異議申立てを却下       

【決定の概要】

 決定:原審判取消

(理由)

法279条1項本文の利害関係人とは、法律上の利害関係を有する者をいうが、法277条に基づく審判が対世効を有することを考慮すれば、審判により直接身分関係に何らかの変動が生ずる者に限られず、当該審判によって変動する身分関係を前提として自らの身分関係に変動を生ずる蓋然性のある者も含まれるというべきである。

本件では、抗告人は、審判が確定すると、母から認知請求を受け、子との親子関係が形成され、母から養育費を請求され、養育費の支払義務が形成される蓋然性があることが認められるから、抗告人は、本件審判に関し法律上の利害関係を有すると認めることが相当である。