当事者間の面会交流の定めの変更について、従前の面会交流の実施状況等を踏まえ、間接強制決定を想定した定めをすることは相当でないとしたが、宿泊付きの面会交流は認めた事例
〔事案の概要〕
申立人(父)と相手方(母)は、平成22年に婚姻し平成24年に未成年者(長女)をもうけたが、その後、別居状態となった。申立人と未成年者との面会交流について、平成28年に審判が確定した。同審判の面会交流実施要領の概要は、「月1回第1日曜日、午前9時30分から午後1時まで、開始時と終了時の受渡場所は当事者間で協議で定めた場合を除き、Fセンターとする。」というものであった(以下「平成28年審判」という。)。
申立人は相手方に対し、面会交流の調停を申立て、平成30年、「面会交流の実施時間を午前9時30分から午後3時まで、開始前の集合場所と終了時後の解散場所を当面の間はFセンターとするが、未成年者の利益を考慮し、当事者間で協議する。」など、平成28年審判の内容を変更する審判が確定した(以下「平成30年審判」という。)。
その後、申立人と相手方の離婚が成立した。令和2年、申立人は相手方に対し、平成30年審判による面会交流実施要領の変更を求め、審判を申し立てた。
原審は、申立人と未成年者が一定期間ほぼ1か月に1回の頻度で面会交流していたが、ある時期から相手方が面会交流を許さないため面会交流ができていないこと、未成年者は面会交流を肯定的に受け止め今後も面会交流することを希望していることなどの事実を認定し、その上で、申立人において間接強制決定を得ることをも想定して未成年者の引渡しの方法等を具体的に定め、また、面会交流の実施時間を午前9時30分から午後3時までとし、また、当事者間で協議して立ち会うこととした場合を除き、相手方が面会交流に立ち会わないこととする旨の変更をすることが必要と判断したが、面会交流の回数、場所等については変更の必要性を認めなかった。これに対し、双方が即時抗告をした。
〔札幌高裁2022(令4)年3月18日決定 家庭の法と裁判60号157頁〕
〔決定の概要〕
未成年者が申立人のことを慕い、面会交流を肯定的に受け止め、今後も交流を継続することを希望していることなどの事情を踏まえ、面会交流の実施自体は認めたが、間接強制決定については、月1回の頻度で面会交流が実施されているが、その実施に当たっては、当事者双方代理人が相当な努力を払っていること、面会交流は柔軟に対応することができる条項に基づき、監護親と非監護親の協力の下で実施されることが望ましいこと、間接強制決定を想定する場合には、監護親の負担や監護親と非監護親との対立が深まるおそれも考慮して、間接強制決定を想定しない場合に比べ、裁判所が定める面会交流の内容も限定的にせざるを得ないことなどを挙げ、相当でないとした。他方、面会交流の実施日時等については、面会交流の受渡場所がDになり、相手方及び未成年者の現住所から移動しやすい場所となったことなどから、面会交流の実施頻度は月1回だが、実施時間は午前9時から午後4時半と2時間加算し、また、面会交流の実施状況や未成年者の年齢等に鑑みて、未成年者がより長時間申立人と楽しく過ごすことも可能等として、宿泊を伴う面会交流を認めた。
