離婚事案において、財産分与として、夫婦が同居中から飼育する犬の帰属につき判断するとともに、飼育費用を負担させる趣旨で定期金の支払が命じられた例

【福岡家久留米支判2020(令2)年9月24日 家庭の法と裁判43号101頁】

【事実の概要】
原告と被告は夫婦であったが、原告が一方的に被告宅を出る方法で、別居状態となった。 原告と被告は、被告宅で同居していた際、犬3頭を飼育していたところ、原告は被告宅を出る際にいずれの犬も連れて行かなかったため、別居後は被告が犬3頭を飼育し続けていた。なお、犬3頭について、原告が引き取ることは困難であり、事実上、今後も被告が被告宅で飼育せざるを得ない。 また、原告は定職があり持家も有しているのに対し、被告は現在無職で借家住まいであり、被告宅の家賃や光熱費、犬3頭の餌代は、いずれも原告が負担している状態である。 本件では、犬3頭を除く夫婦共有財産については、清算的財産分与として、原告と被告の名義の資産を合算した金額の2分の1が原告から被告に支払われるべきとされた。

【判決の概要】
「犬3頭については、積極的な財産価値があるとは認め難いものの、一種の動産ではあり、広い意味では夫婦共同の財産に当たるから、財産分与の一環として、これらの帰属等を明確にしておくのが相当である。」
「原告が犬3頭を引き取ることは困難であ」り、「事実上、今後も被告が被告宅で飼育し続けざるを得ないものである。しかし、犬3頭の飼育のためには、被告宅を確保するため家賃を払い続ける必要があるほか、3頭分の餌代その他の費用を負担する必要もあるところ、その全額を被告に負担させるのは公平を欠くというべきである。」
「犬3頭については、これを原被告の共有と定め、民法253条1項により原被告が持分に応じて飼育費用を負担するものとしておくのが相当と考えられる。そして、原告は定職があり持家も有しているのに対し、被告は…現在は無職であり、借家住まいであることに照らすと、持分割合は、原告2対被告1として、同割合で費用を負担するのが実質的な公平にかなうといえる。」
「犬3頭の飼育費用…の3分の2については人事訴訟法32条2項により、原告に支払を命ずるのが相当である。」