突然ですが、法律に全く関係のないコラムを始めます。
なぜ「兎」なのか――それは単純に、兎が好きだから。
そして「時空を跳びはねる」といっても、その行き先は主に過去になるでしょう。
というのも、私は幼少の頃から日本の古い文化・芸術が大好きで、大学では特に浮世絵や中世の風俗画なんぞの研究にハマっておりました。弁護士登録して気が付けば25年以上が経過しましたが、いにしえへの愛が失われたことはなく、いや増すばかり。
そんなわけで、誰が読んでくださるかもわからない…いや、おそらく誰も読まないであろうこのコラムを、ひっそりと始めることにしました。
さて、今回は、葛飾北斎の絵本「隅田川両岸一覧」をご紹介します。
隅田川の両岸の景観を、川下から川上へ、さらに春から冬へと季節を移ろわせながら描いた絵本で、全三巻からなります。袋綴を外せば、横長の絵巻物のように楽しむことができます。
当時賑わいを見せていた隅田川沿いの家並みとそこを行き交う人々。橋の佇まい、たくさんの人を乗せた舟と船頭さん、寺社や茶店。大道芸を眺める人々、凧揚げをしている子供たち、そして遠くに望む富士山。
ただ眺めているだけで、胸が高鳴ると同時に、「この世界に入りたい」という強烈な憧れと、「決して入れない」という切なさが同時に押し寄せてくる、実に粋な絵本です。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション「隅田川両岸一覧」
私がこの絵本に初めて出会ったのは、中学二年の夏、当時渋谷にあったたばこと塩の博物館でした。
いわゆる中二病という言葉がありますが、私はこの作品との出会いをきっかけに“江戸時代に戻りたい病”を発症し、毎晩枕を涙で濡らすことになります。
同時に時代好きであった私は、すさまじい勢いで『水戸黄門ゲーム』をプログラミングし、その年の秋の学園祭に展示することになるのですが、日本橋の大店や屋形船などを描くのは私にとっては無上の喜びでした。
さて、肉筆画を除く浮世絵は、多くの絵画と異なり、「手に取って楽しむ」もの。そのため、細部に至るまで精緻な描写が求められます。
北斎は、数々の名作や漫画を残し、構図や発想の面で天才的であることは言うまでもありませんが、それを支える手技の巧みさもまたピカイチでしょう。
本当に北斎は素晴らしい💗
次回も北斎愛を語ります。
渕上陽子
