2023年9月2日・3日の2日間にわたって、代々木公園で、防災・減災を啓発するためのイベント「TOKYO もしもFES 渋谷」が開催され、当事務所の弁護士が参加してきました。まだまだ残暑が続く中、ステージでは防災に関するトークショーやダンスが披露され、各ブースでは、いろいろな体験やクイズなどで、子どもから私たち大人まで楽しく災害への備えを学ぶことができました。
このFESに、日本初の「レスキューキッチンカー」で参加していた、一般社団法人日本食育HEDカレッジ(https://hed-college.com/)の主宰者・中村詩織さんにお話をお聞きしました。
Q 「レスキューキッチンカー」とは初めて聞きましたが、どういうものですか?
A レスキュー」には二つの意味があります。まず1つは、キッチンカーに防災用品や備蓄食品等を積載しておいて、万が一災害が起きたときに、被災したその場で、地域のレスキュー拠点になれるようにしようというものです。
ここにあるレスキューキッチンカーは、昨年、クラウドファンディングで製作したもので、炊き出し用の大量調理器具や500人分の食材、テント、2000回分の簡易トイレを常備しています。また、使用している看板は担架として利用できますし、車の側面は一面ホワイトボードになっているので伝言板として利用することもできます。
2つめの「レスキュー」は、日常的なフードロスを削減し食材をレスキューしようというものです。見栄えが悪いなどの理由で廃棄されてしまう野菜を使ってお弁当などを作ってキッチンカーで販売するなどし、利益を生産者に還元する活動をしています。
Q この活動を思い立ったきっかけは何ですか?
A 2016年の熊本地震がきっかけです。当時、私は現地に支援に行きましたが、被災者になかなか温かい汁物が出せないとか、支援物資が提供されずに放置されているとか、被災者支援には食の視点が欠けていることを痛感しました。
そこで、キッチンカーは全国各地で稼働しているので、いざというときに、被災地にあるキッチンカーで、その場で炊き出しなどができたらと思いつきました。
Q 今後この活動をどのように広めていきたいですか?
A 今回参加している「レスキューキッチンカー」は、見本として作ったもので、必ずしもこのような新しいキッチンカーを皆さんに作ってほしいというのではありません。今、全国各地で稼働しているキッチンカーが、それぞれ防災用品や食材を備蓄するとか炊き出しに対応するなど、できることを取り入れていってほしいと思います。今年の11月・12月には福岡、来年1月には鹿児島など、今後も全国各地に行ってこのレスキューキッチンカーのお披露目をして、呼びかけていく予定です。
Q もう一つの「食材のレスキュー」については、例えばどんなものがありますか?
A 今日、キッチンカーで販売しているオリーブハーブソルト味のポップコーンも、食材のレスキューの一環です。このハーブソルトは、静岡で栽培されたオリーブの若葉を使用しています。今、静岡では、耕作放棄された茶畑にお茶の代わりにオリーブを植える活動をしている農家さん達がいます。しかし、オリーブは植えてから実がなるまでに6~7年かかってしまうので、その間、収入がなくなってしまいます。そこで、そんな農家さんを支援するために、赤穂の天塩さんと協力して、普段は廃棄されるオリーブの若葉を使用したオリーブハーブソルトを作りました。近日中に発売される予定です。
【お話を聞いて】
中村さんによると、キッチンカーは、東京だけで約5000台も稼働しているそうです。渋谷のように災害時に多数の帰宅困難者が発生すると見込まれる地域でも、もしキッチンカーがレスキュー拠点になってくれたら、本当に心強いと思いました。
「レスキューキッチンカー」という仕組みを思いついて実際に作り上げた中村さんは、エネルギーに溢れていらして、お話をするだけでこちらまで元気になれました。中村さんの活動には学生のボランティアも多数参加しているそうで、私たちも今後応援していきたいです。なお、購入したポップコーンは、とてもおいしかったです!オリーブハーブソルトも買わせていただきたいです。