今年に入ってから、兎が何度かお食事をご一緒しているグループの面々は、比喩ではなく、本当にキラキラ✨と輝いている。
それぞれの分野で才能を磨き、美しく、しかもオトコマエ。さらに、ガサツな兎を温かく迎え入れてくださる、懐の深い方々でもある。
さて、そのメンバーに、“河原れん”さんがおられます。
れんさんとの最初の出会いは、新宿伊勢丹の地下にあるコスメフロア。お恥ずかしながら、兎が初めて足を踏み入れたゾーン。
その日、れんさんが手掛ける発酵スキンケアブランドSOPHISTANCE(https://sophistance.jp/)のポップアップストアが開かれていたのです。

↑ キラキラな仲間たちと兎(河原れんさんは一番左)
当時の兎は、”れん”というお名前しか存じ上げていませんでした。ところが後日、いただいた名刺を何気なく見返して、思わず「きゃぁーーー!」と絶叫しました。
“河原れん”
映画『HOKUSAI』の脚本家であり、葛飾北斎の娘・お栄役としても出演されていた、あの河原れんさんではありませんか。
『HOKUSAI』はコロナ禍の2021年に公開された作品です。観たくても観られなかった方も少なくないでしょう。
90年に及ぶ北斎の生涯と葛藤を限られた時間の中で見事に描き切った傑作で、若き日の北斎を柳楽優弥さん、老年期を田中泯さんが演じています。
兎は以前から不思議に思っていました。
北斎は83歳から亡くなる前年の89歳まで、何度か小布施を訪れています。高井鴻山のもとに滞在し、岩松院の「八方睨み鳳凰図」をはじめ、「男浪図」「女浪図」など数々の肉筆の名作を残しました。
しかし、小布施は長野県北部にあります。現代でも都内から高速道路を使って相当な時間がかかる場所です。しかも北斎は70代で中風(脳卒中)を患っています。
少し時代は遡りますが、松尾芭蕉も江戸深川から東北を経て美濃大垣まで旅をしました(『奥の細道』)。もっとも、芭蕉は当時まだ40代でした。また、伊能忠敬も日本各地を測量して歩きましたが、それは50代から71歳にかけてのことです。
北斎は、なぜ、83歳という年齢で、はるばる小布施を目指したのか。
色々な本を読んでも、また北斎館や高井鴻山記念館を訪れても、どこか腑に落ちずにいた兎ですが、『HOKUSAI』の後半を観て、思わず膝を打ちました。
「そういうことだったのか」と。
杖をつき、おぼつかない足取りで険しい山道を歩く北斎の姿も、幻想的な景色の美しさと相まって、強く心に残りました。
エンディングもとても素晴らしかったな。
老いた北斎と若き日の北斎が並んで筆を執り、絵に向かう。
絵の迫力と名優2人の表情が胸に迫り、今もあの日の感動が蘇ってきます。
また、若き日の北斎が蔦屋重三郎、喜多川歌麿、東洲斎写楽らと出会う場面も見どころです。浮世絵ファンはもちろん、そうでない方にとっても心躍るシーン。
さらに、本コラム其の弐で紹介した「冨嶽三十六景・駿州江尻」の着想につながるエピソードも登場します。
そしてこの映画は、年を重ねることへのワクワク感も味わわせてくれる作品です。
北斎は晩年になってから、「冨嶽三十六景」をはじめ、雄大で迫力ある数々の傑作を生み出しました。
ひょっとすると兎も、今後ますます大きく成長し、大輪の花を咲かせられるのかもしれない、そんな前向きな気持ちにさせてくれる映画です。
後日、れんさんは『HOKUSAI』のシナリオブックをプレゼントしてくださいました。兎の家宝として、一生大切にしたいと思います。

れんさんによれば、何と、SOPHISTANCEの商品も、北斎の人生を調べる中で着想を得たものだそうです。
社会人になってから、深刻な肌荒れに悩まされてきたというれんさん。
『葛飾北斎伝』で、中風で倒れた北斎を回復させた薬のレシピを知り、早速自宅のキッチンで再現したものを自分の肌に使ってみたところ、ニキビがすっかり治ってしまったのだとか。
そこから発酵や自然療法に興味を持ち、肌本来の美しさを引き出すのは、先進的な化粧品ではなく自然が生み出すシンプルな成分だと気づかれたそうです。
兎は、“発酵と植物の力で、巡りをサポートする”というボディセラムを購入してみました。塗った瞬間に凝りが和らぎ、頭痛も楽にしてくれる不思議なジェル。北斎と同化する喜び。
以来、愛用しています。
兎の周りに、河原れんさんほど北斎と縁のある方はいません。
そして、れんさんと兎を引き合わせてくれた縁結びの神様は、きっと北斎ですね。
河原れんさん、そして北斎、ありがとう~!
追伸:『HOKUSAI』で北斎が絵を描く場面。その実際の筆致を担当していた方も、偶然にもこのグループのメンバーのお一人でした。びっくりです。
