試行的面会交流の実施を積極的に検討し、その結果をも踏まえて、直接交流の可否等を検討して定める必要があるとして、事件を原審に差し戻した例
【東京高等裁判所2023(令5)年11月30日決定 家庭の法と裁判52号83頁】

【事案の概要】
抗告人(父)と相手方(母)は婚姻後、令和2年に未成年者をもうけたが、相手方は未成年者とともに抗告人と別居した。別居後、抗告人は未成年者と交流しておらず、抗告人は相手方に対し、未成年者との面会交流について審判を求めた。
原審は間接交流が相当としたため、抗告人が即時抗告をしたところ、抗告審は原審判を取り消して、原審に差し戻すのが相当と判断した。

【決定の概要】
「相手方には、抗告人と未成年者が第三者機関を利用して直接の面会交流をすることに協力することが直ちに困難であると断じるに足りるだけの客観的かつ具体的な事情があると認めることはできない。・・・未成年者の年齢及び特性等に照らせば、なお、未成年者において、相手方と離れて抗告人と直接の面会交流を行うことができるかどうかについて、子の福祉の観点から、慎重に検討判断する必要があるというべきである。そうすると、本件においては、抗告人と未成年者との試行的面会交流の実施を積極的に検討し、その結果をも踏まえて、直接面会の交流の可否や、直接又は間接の面会交流の具体的方法、頻度、内容等を検討して定める必要があるというべきである。」